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ナイチンゲール博物館を訪れて

 2014年9月、私は、かねてからの念願だったフローレンス・ナイチンゲール博物館を訪れることができた。その建物はセントトーマス病院の一角、彼女の90年にわたる生涯の逸話を興味深く、コンパクトな空間の中で展開していた。

 生い立ちと豊かな子ども時代、アッパーミドルクラスとはいえ、日本人には圧倒されるような家庭環境、交友関係、その成長と戦争、病院管理と看護など、その信念に基づいた活動を多彩な展示物と共に、社会の改革者としての並はずれた活動を紹介しており、すべてが、過去とも現在ともつかない不思議な空気に包まれていた。残された多くの書簡や著作と共に、腹心のペットのふくろう[アテナ]の姿もあり、はく製かぬいぐるみか微妙とも思いながら、話しかけていただろう姿を思い描いて楽しかった。そして、使用していたランタンの実物を目にした時は、素直に感慨深かった。

 しかし、より興味をひかれたのは、彼女の病院管理日誌ともいえる書物に、一人ひとりの看護師への辛辣な批評の書かれている頁であり、看護の創始者としての伝説のゆえんを目にした思いで身が引き締まった。館内では、ちょうど地元の子供たちの課外学習も行われており、自国の先駆者として、フローレンス・ナイチンゲールへの理解を深める機会を子どもたちに提供していることを知ることにもなった。

 今、私は、期待以上の嬉しい時間を過ごせた思い出と共に、改めて「看護覚え書」を手にして、看護への縁を感じている次第である。