ときわブログTokiwa Blog

教員ブログ

アサギマダラの列島縦断の旅

 10cmにも満たない小さな蝶が、南は喜界島から北上し、裏磐梯で産卵、生まれた二代目が今度は南へと、実に2,000kmの距離を飛び続ける......。みなさんはこのスーパー蝶をご存じだろうか。「アサギマダラ」という蝶である。左右4枚の羽のうち、2枚が黒色、後が茶色で、縦縞のように縁取られ、中は、薄い藍色である「浅葱色」。太陽の光を受けると鮮やかな空色に輝く。私も名前を知らないまま、この蝶に出会ったことがある。5年ほど前の夏、四国の石鎚山の山中で、白い小さな花の蔭に羽を休めていた(写真は、その時のもの)。
 なぜ小さな羽で海を越え、遠い旅をするのだろうか。その秘密は、21度という気温を求めるからだという。二つには、スナビキ草という可憐な白い花。その花には蜜とともにオスが好んで吸う成分が含まれており、それはフェロモンに変化し、メスを誘い子孫繁栄をはかるため。同じような成分を持つ花は、他にヨツバヒヨドリ、フジバカマがあり、その花を求めて移動を続けるのだそうだ。
それにしてもあの薄い羽のきゃしゃな姿と、まるで米粒のような大きさで、あの大海原を、どう越えてゆくのだろうか? これにも秘密があるという。まだあまり解明されていないが、上昇気流に乗って高く舞い上がり、次に滑空という方法で急降下し、距離を延ばすらしい。しかし、上昇気流に乗れなかった場合もあり、その時は海上低く羽をばたつかせ、懸命に自力で飛び続ける。そのため力尽きて海面に浮いているものも見受けられるという。万事休すか...! 否、目撃した漁師さん曰く「かわいそうにと見ていたら、突然羽を開き、再び陸を目指して飛び立った」と。
 なんと健気な姿だろうか。彼らが生きることとは、大移動することにあり、その危険な旅を知恵と勇気で当たり前のように飛び続けているのだ。当たり前のことを、ありのままに、黙々と続ける。
私たちも学びたいものである。

(詳細は、平成27年1月11日放送の、NHK「ダーウィンが来た」をご参照ください)。