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教員ブログ

足浴

足浴は入浴することが出来ない患者のための重要な看護ケアの一つです。また、足浴の効果は多くの研究者によって調査、実証されており、睡眠パターン、自律神経機能、精神神経免疫機能への効果が報告されています。これらの結果から、足浴はその副交感神経系への効果により、リラクゼーション、睡眠、血液循環を促進する可能性があることが証明されていて、現在では全身浴と同じぐらいに身体を温める効果があるといわれています。

また、「足湯」として日常生活の中にも入って来て、駅構内、空港のラウンジ、高速道路SA、道の駅にも足湯コーナーを見かけます。「足湯」 は気軽に出来るリフレッシュの代名詞として、いまや日本人には必修といえるほど利用率が高いようです。(三宮や有馬温泉にもあります)

  看護学生は臨地実習での体験で、あらためて足浴の効果を実感します。それは、出会った患者が、脳梗塞で片麻痺が残り思うように体が動かず、食べることや排泄すること、眠ることも儘ならないでいるときに、学生が足浴を計画しました。学生は、実際の患者には初めての体験なので、汗をかきながら、気を使いながら実施しました。終了後、「あ~気持ちがいい!あなたにしてもらって良かった!」と患者から言われました。そして、次の日、「おかげで昨夜は久しぶりによく眠れたわ」と言われました。学生は、この時の感想を「これまで私は患者に看護として何ができるのだろう...と悩んでいた。でも、私の実施した足浴をこんなに喜んでもらえ、自信を取り戻した。もっともっと全体像を捉え、看護実践に生かしたい。」と書いていました。学生にとってこの足浴は、患者との関係性の構築の取っ掛かりとなり、患者の反応から看護ケアの実感がわき、今後の学習への自信や意欲につながっていく。たかが足浴、されど足浴、足浴バンザ~イ!です。

  鳥取県のホスピス"野の花診療所"の院長でもある徳永進著「心のくすり箱」には「足を洗う」というタイトルで、大腸がんの末期で腹水・腰背部痛が激しく、ついには、貧血・黄疸・るい痩などで動けない状態となったKさんのエッセイがある。徳永先生は「これ以上の苦痛には強い鎮静剤か麻酔導入剤か強めのモルヒネしかないと決心し患者のところへ行った。文中には「Kさんの病室に行ってみた。Kさんはにこっと笑っていた。ニカッだったかも知れない。とにかくおかしいのだ。人間違いかと一瞬思った。⟦先生、石けんと熱い湯で、看護婦さんが足を洗ってござれて。垢がボロボロ出て、そりゃあもう気持ちがええの何のって、初めて生きた心地がしました!⟧10日後、Kさんは亡くなったが、論理や科学を粉砕した「足浴」はボクシングのパンチのように、僕の心の中に深く残った。」とあった。この気持ちのいいケアが「足浴」であり、論理や科学を粉砕する力があると信じている。

  ちなみに私も足浴は、するのもされるのも大好きです。

  みなさんも、足浴(足湯)で気分も身体もリフレッシュしてみてください。

*神戸布引ハーブ園にも「ハーブの湯」の足湯があるそうです。