ときわブログTokiwa Blog

教員ブログ

新緑の山寺

 私が継いでいたら14代目住職になるはずだった実家の寺に行ってきた。神戸から四時間、これより先に道はない文字通り終着地に建つ山寺だ。
 境内の裏山にある父の墓に参り、明後日二十歳の誕生日を迎える次女と二人で線香を手向けた。ブナやミズナラの若葉の緑が優しかった。
 寺を継がず大学の教員になった私の代わりに、奇特な人物が住職を引き受け代々の檀家の墓を守ってくださっている。
楠の落ち葉がきれいに掃き清められ、箒目がかすかに残る境内にしばらく腰を下ろし、「♪人生ってなんだぁっけなんだぁっけ」と口ずさんでみる。
 罰当たりな私にも、すがすがしく晴れ渡った5月最初の日曜日の風は心地よかった。