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教員ブログ

日本語なのにわからない・・・

お遍路さんも利用している四国の古くからあるビジネスホテルの
フロントでの会話で私にとってショッキングなことがありました。

フロントで教えてもらう説明の日本語の意味がわからなかったのです。
それも全然専門用語なんかじゃなくて,ごく普通の会話です。

こんな感じでした。


フ「お部屋の鍵は内側に回してください。」

私「内側って右回しですか?左回しですか?」

フ「お部屋によって右か左かが異なるので,内側に。」

私 ?????????????

友「私わかったから,行こう!」

そうなんです!
一緒にいた友人はこの会話を後ろから聞いていて完璧に理解していたのです。
もちろん,実際にお友だちの理解している方に鍵を回してドアが開きました。

これが私の部屋のドアの様子です。
みなさんは鍵をどちら側に回しますか?

私はその後友人から説明を受けたものの・・・
結局この場合に用いられた「内側」の意味がわからないから,
自分の泊まった部屋の場合はどちらに回すのか理解したけれど,
果たして,今回の説明は一般的なものなのか?

そして,今後,この鍵の話とは別のことで同様の事態が起きた時に,
今回学んだことが応用できるのだろうか?
きっと応用ができないはずなのです。
内外の基準が感覚として入らない以上,
区分する判断基準を説明してもらってから
考えるしかなさそうなのです。

「方言ではないか?」と友人に聞いたら,そうではないらしく
簡単な日本語がわからないことに大ショック!!
普通にわかる友人からすると「なぜわからないのか?」というところですが,
わからないものはわからない。

図的に言うと,集合住宅やホテルなどでは水回りの関係で,
二室を線対称で配置することが多いようです。
よってドア位置も,右側だったり左側だったりします。
下手な絵で申し訳ないのですが,こんな感じの右側の部屋が私の部屋でした。
隣の部屋と蝶番とノブの位置が逆ということです。
部屋によって右か左かが異なるのはこれが理由でした。

そして,右側の私の部屋の鍵は右側に回して開きました。
この部屋の内側は右の方向だったのです。
(残念ながら隣の部屋の鍵はないので,隣の部屋の検証はしていませんが,
同じ理屈を当てはめると左に回すと開くはずです。)

正解がわかってもそれがなぜ「内側」になるのかがわからないままでした。

このエピソードが私にとってあまりにも大ショックだったために,
帰宅後に周りの人たちにこれについて少し聞いてまとめてみました。

いくつかのグループにわかれました。

①「?」(私と同じ)

・閉まったドアの長方形を想像したが内側の意味がわからない。
・ドアの向こう側は内側,廊下に面している側が外側だから回せない。

②蝶番側

・蝶番のある軸を中心としてドアの開閉により鍵の位置は円弧を描くと考えると,蝶番側が内側。
・ドアを「図」,その周りを「背景」「余白」「地」と考えて,内側というとドアの中心と思った。
それで,蝶番のある側にはドアノブは付かないから蝶番のある方が内側。

③入り口に近い方

・ドアが開いている状態(体を中に入れる状態)を想起して,「内側」を理解なさったのではないか。
・実際,家のドアの前に立ってみたら,「足を踏み入れる方」が,私には圧倒的に内側だった。

④部屋の中心に向かう方

・「手のひらを内側に向けてください」って言われたら,身体のセンターに向ける。右手でも左手でもセンターに向けるから部屋のセンターが内側。
・その部屋のドア位置が右側に配置されているのか,左側に配置されているのかがわからない場合,「内側」はとても端的かつ適確な一言だと思う。

今回のことからわかった「内外判断基準感覚の目のつけどころ」まとめ

・部屋入口のドアの取手と鍵だけ
・ドア全体と蝶番
・部屋全体,もしくはフロア全体を俯瞰

最終的には,右に回すか左に回すか2通りしかないし,
実は,このホテルのドアは回すだけではなく
「回しながら押す」タイプの鍵だったので,
「どちらかに回しながら押したら開く」のでしょうが,
それはカード式の鍵や特殊な鍵以外は,
普通「どちらかに回しながら押したら開く」はずなので,
きっと開け方がわからなくてフロントに聞きに来る人が
多いからつけた説明ではないかと推測しています。

ですが・・・「内側」これが適切な言葉なのかは疑問が大いに残るところです。


これは単なる経験をまとめただけで,
研究結果のレポートではないので,適当なまとめ方をしていますが,
周囲の人の意見を聞きながら,改めて人間の認知の面白さを
実感したエピソードでした。

ただし,同じ情報を与えられるのにその受け止め方が人によって異なるのは,
とても面白いだけではなく,情報伝達ということで考えると,
今回の「内側」はこの感覚が身についていない相手には伝わらない
という難しさも感じました。

でも・・・やっぱり人間って面白いなあ,としみじみ思ったので
長文になってしまいましたが,ブログに出してみようと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。