保健科学部 診療放射線学科Radiological Technology

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【診療放射線学科】診療放射線学の聖地へ!ドイツ研修記 前編:ヴュルツブルク大学病院とレントゲン博士の足跡を辿る

はじめに
2025年5月22日から5月30日まで、診療放射線学科の学生10名が、国際保健医療活動Ⅱの科目で、ドイツ研修に参加しました。10名中9名は初の海外ということもあり、期待と緊張が入り混じる中、私たちは診療放射線学を学ぶ者にとってまさに「聖地」と呼べる場所を巡る旅に出ました。前編では、X線発見の地であるヴュルツブルク大学病院と、レントゲン記念館での貴重な体験をご紹介します。
ヴュルツブルク大学病院:広大な敷地と歴史が息づく医療現場
ドイツロマンチック街道の出発点であるヴュルツブルクは、歴史的な教会や大聖堂が立ち並び、世界遺産「レジデンツ」も有する美しい街です(写真1, 2)。そのヴュルツブルクにある大学病院は、総敷地面積が約480,000㎡以上(東京ドーム10個分以上)の広大な敷地に50棟以上の診療棟・研究棟が立ち並び、1400床を超える病床を持つ、まさに巨大な医療機関です。
この病院は、X線を発見したヴィルヘルム・コンラート・レントゲン博士がかつて務めていた大学病院でもあります。病院内の至る所でレントゲン博士に関連する写真を目にし、その歴史の重みを感じることができました(写真3)。
私たちは今回、病院内の循環器研究センター核医学診療棟、そしてレントゲン記念館を訪問しました。
ビュルツブルクのマイン川沿いの景色
写真1. ビュルツブルグのマイン川沿いの景色。丘にはマリエンベルク要塞があり、
斜面にはワイン畑が広がっています。ビールよりもワインが有名な土地です。
ビュルツブルクのレジデンツ
写真2. ビュルツブルグのレジデンツ。ヨーロッパにおける宮殿建築の最高傑作のひとつと
言われており、1981年に世界遺産に登録されました。
レントゲン博士写真 左 レントゲン博士写真 右
写真3. 病院内のエレベーターにレントゲン博士の写真があり、病院の窓や壁など多く
の場所にX線検査画像が描かれていました。
循環器研究センターでの国際交流
循環器研究センターでは、ヴュルツブルクの技師学校の教員と学生たちとのプレゼンテーションや意見交換の機会をいただきました。学生たちにとって初めての海外での英語口頭発表は、大きなプレッシャーだったことでしょう。しかし、当日朝まで練習を重ねた成果もあり、皆堂々とした素晴らしいプレゼンテーションを披露してくれました。(写真4)
学生がプレゼンテーションを行う様子
写真4. 学生がプレゼンテーションを行う様子。5名ずつ2グループ発表し、日本文化、
神戸常盤大学の特徴、日本の人口減少問題や認知症診療について英語口述発表しました。
最先端の核医学診療に触れる
核医学診療棟では、18F-FLT PETで世界的に有名なDr. Buck先生から、検査室、核医学治療室、放射線管理設備などについてご説明いただきました(写真5)。 現状、日本の核医学診療は欧州に比べて遅れていると言われていますが、実際にその差を目の当たりにし、ただただ驚くばかりでした。特に核医学治療においては、放射性医薬品の開発から入院設備まで、その進歩の差は歴然でした。
レントゲン博士の研究室へ:かけがえのない体験
そして今回の研修で最も感動的だったのが、レントゲン記念館です。レントゲン博士の生い立ちやX線発見時の話に耳を傾けました。さらに、ヴュルツブルク大学の先生方のご厚意により、X線が実際に発見されたレントゲン博士の研究室に特別に入らせていただくことができました。診療放射線技師を目指す私たちにとって、この場所で過ごした時間は、まさに「かけがえのない時間」となりました(写真6)。
ヴュルツブルク大学病院
写真5. ヴュルツブルク大学病院のDr. Buck先生との集合写真。
レントゲン博士
写真6. レントゲン博士の研究室内での集合写真。机の上にある実験装置などを使って
X線が発見されました。ノーベル物理学賞の賞状なども飾ってありました。
次回予告
後編では、世界有数の医療機器メーカーであるSIEMENS Healthineers本社での見学や、ドイツの文化体験についてご紹介します。診療放射線学の未来を担う最先端の技術に触れ、異文化に触れた学生たちの学びとは?どうぞお楽しみに!

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