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教員ブログ

ジンチョウゲと椿

 2月も後半になると日足が伸びて春が近づいていることを実感します。この頃から大学の西門に続く登り坂の途中、道端でジンチョウゲのつぼみが膨らみ始め、やがて強い甘い香りを放ち始めます。ジンチョウゲは中国南部からヒマラヤが原産地で、室町時代に日本に入ってきたそうです。ずいぶん前にヒマラヤトレッキングに出かけたとき、山中でジンチョウゲにそっくりの花を見かけました。やはりジンチョウゲだったようです。シェルパに名前を尋ねるとwinter flowerとのこと、確かに春先ではなく12月に咲いていました。     

      


 日本で栽培されているジンチョウゲは雄株のみで実を付けることはなく、挿し木で殖やすそうです。挿し木では元の木と同じ遺伝子を持つクローンを殖やすと言うことになります。ジンチョウゲには白花や葉に縁取りのあるものもあるようですが、よく見かけるジンチョウゲは萼の外が紅色、内が白色でたくさんの花が鞠のような形、どれも同じクローンなのでしょうか。
 同じく春先に咲く椿は実を付けます。単一の椿が群生しているところでなければ、椿の種をまいても親と同じ花は咲かないと言います。もし同じ花を咲かせたければ、ジンチョウゲと同じように挿し木で殖やします。椿は雄と雌の遺伝子が交わった種から育てることができるので、花びらの形や数も、開き方も多様で、新しい品種も次々に発表されています。運が良ければ素人でも魅力的な新種を作ることができるとか。以前庭の椿にできた種をいくつか播いたところ、出てきた葉も様々で薄い黄色のまだら模様・斑が入ったものまでありました。その後の管理が適当でなくうまく育ってくれませんでしたが、育っていたらどんな花が咲いたのでしょう。
 大学内にも何本かの椿が花を咲かせています。一度種を拾って播いて見たいものです。種を播いてから花が咲くまでは5年、もし花が咲いたらどこのどんな椿の花粉が、どうやってこの椿までやってきたのか、母と子の顔を見比べながら想像してみるのも楽しいかもしれません。