ときわブログTokiwa Blog

教員ブログ

2016年度を振り返って

 毎年年度が終わると、忙しい慌ただしい1年だったと感じるのですが、2016年度は、特に忙しく時間が過ぎていきました。2016年前期、私にとって大きなことが3つあったのですが、あわただしすぎて昔の出来事のように今思い出しています。それは新2号館完成と2つの国内で開かれた国際学会です。
 まず、5月に新2号館が完成しました。医療検査学科の実習室が2階と3階に入っています。実習の授業を一年間行ってきた仮校舎から5月に実習を行いながら引っ越しました。新2号館は、外見のデザインだけでなく、中も充実しており、前期後半の実習授業は快適にできました。実習の学生によるプレゼンターションも新設備の元、スムーズに行うことができ、よかったです。
 8月31日~9月4日の期間、今年は検査の国際学会が神戸で開かれこともあり、以下の4つの学会が神戸で同時開催されました。

☆IFBLS 2016
(第32回世界医学検査学会): 神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場/神戸国際展示場
☆第63回日本臨床検査医学会学術集会:神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場/神戸国際展示場
☆第65回日本医学検査学会:神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場 / 神戸国際展示場
☆第11回日本臨床検査学教育学会学術大会:神戸常盤大学、神戸国際展示場

 『第11回日本臨床検査学教育学会学術大会』は、当大学の保健科学部医療検査学科 坂本秀生学科長を大会長として神戸常盤大学の新2号館、ハローホールと神戸国際展示場で開催されました。テーマは、「臨床検査技師の国際化」でした。私はこのテーマも当大学、また大会長にふさわしいものだったと思っています。私自身は、2014年に当大学で補体シンポジウムを畑中教授(現客員教授)の元、開催したことはありましたが、このような大きな会は初めてでした。教育学会ですので、当学科の教員だけでなく、学生も多数ここで研究発表を行いました。当大学の学生の発表は、今回、当大学が担当した学会だからというのではなく、昨年度、信州大学で開催された時も多数ありました。2017年度の第12回の埼玉県立大学でも多数の発表があることを願っています。
 その後、9月4日~8日の期間(私は授業の関係で最初の2日間のみ参加しましたが)、金沢で、XXVI th International Complement Workshopがありました。これは、私が30年間ほど研究テーマとしてきた「補体」の国際ワークショップです。国際ワークショップは、ほぼ2年に1度の頻度で開催されていて、私が日本でこの国際学会を経験したのは、アジアで初めて開かれた時のXV th International Complement Workshop(Kyoto) のと、今回で2回目でした。これまで日本開催の15回から21回まで海外でのワークショップは7回参加し発表もさせて頂いていましたが、最近は時間が合わないこともあり、ちょっと国際学会からは参加さえも遠のいていました。
 私は30年近く補体に関することをしてきた中で、神戸常盤大学では、平成19年9月から平成27年3月まで補体異常を疑う臨床症例についての補体学的な解析の相談や補体成分の測定などを神戸常盤大学・保健科学部・医療検査学科の補体チーム(畑中元当大学教授が責任者)として、お引き受けしていました。というのも、病院や検査センターでは、個々の補体成分の活性が測定できませんが、それが病気の詳しい解析に繋がるため、各臨床医の要望にお応えしてきました。しかし、活性測定に必要となる試薬(今は市販がなく私が精製していました)の入手が困難なこと、責任者である畑中の退職などで、測定を継続することが困難となり、平成27年3月をもちまして公には終了しました。終了後も問い合わせがあり、今も数件ですが手がけています。神戸常盤大学にはこの測定を8年間支えて頂いたことへの感謝の中、久しぶりの国際学会参加で感慨深いものがありました。
 私が行っていた各補体成分の測定法は、少し古い手法(溶血活性法で測定)で、手間といろいろな補体成分の試薬を必要とするため、今、後継者はいません。また、これに代わる測定法がまだなく、心を痛めています。日本補体学会もその面での研究や解析方法の研究を応援しています。私もまだ、これに関してはあきらめず、模索中です。補体全体としては、臨床的には これまでの研究の中心だった自己免疫疾患の膠原病だけでなく、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、血栓性微小血管症 (TMA)、遺伝性血管性浮腫(HAE)などの病気の治癒や発症予防、及び移植の時の拒絶反応を防ぐことへの新薬開発で、今また、もう一度注目されている分野ですので、刺激を受けました。
 以上、私にとって2016年の学会は、改めて、私自身が発表できるような研究をと思うと同時に、学生にこのような場で発表できるように指導していけたらという思いを新たにしたもので、印象深いものでした。