ときわブログTokiwa Blog

教員ブログ

「小児科 通い続ける大人」

 学生の皆さんにも知っていただき、考えていただきたいと思い、今回下記の記事をご紹介いたします(2014年9月10日 朝日新聞 P25 より))。

 「医療の進歩で亡くなる子どもたち減ったが、うまく成人の診療科に移れないケースが相次ぐ。日本小児科学会が1月、対策をまとめるなど、解決に向けた動きも出始めた。しかし、治療を続けながらの出産、就労など、患者と医療現場の模索が続く。」
 2005年の調査では小児慢性疾患の患者は年間約1000人ずつ成人になり、うち53.6%が病気や後遺症を抱えている。
 たとえば、保育園に入るころにネフローゼ症候群と診断され、高校1年生まで入退院を繰り返し、15年以上も小児科で診てもらっているAさん(24)は、再発し成人向けの病院でセカンドオピニオンを受ける。しかし、治療の考え方が今までと違っていることや、小児科の医師とのつながりを保ちたい気持ちがあるなど、成人の診療への移行は簡単ではない。また、生後すぐウイルムス腫瘍が見つかり、腎臓の一部を切除したBさん(20)は結婚を予定しているが、将来的に子どもを授かりたいと考えている。薬を飲み続けていることから胎児への影響を考え悩んでいる。一方、生まれつき心臓の心室が欠損してペースメーカーを入れているCさん(26)は、仕事上一見健康そうに見えるため、残業を断れないなど就業の苦労もある。
 以上のように、病気で亡くなるリスクが低くなることは、慢性疾患の病気を持つこどもにとっても家族にとっても喜ばしいことであるが、病気によって教育や就労、出産など社会人として全うしていくには難しい社会の現状がある。
 このような現状の中で「小児科医が患者のためにと思ってやってきたことが、甘やかしだったという現状もある。生涯を通じて考えなければならない。」という声も聞かれる。
 さて、皆さんはこのような大人になっても小児科に通う患者さんの現状をどう考えますか?
                                  

                                      文責 庄司