保健科学部 医療検査学科Medical Technology

TOPICS

実習ライブレポート病原微生物

■病原微生物検査学実習■
神戸常盤大学医療検査学科の実習内容を学生によるライブレポートでお届けします。第1回目は病原微生物検査の様子を、医療検査学科2年の森先がお伝えします。病原微生物検査学実習は、実習を通して微生物の取り扱い方、特に無菌操作、培養法、標本作製法と顕微鏡操作の修得のために基礎的な実習です。今回は、水洗後の手にどんな細菌がどの位いるか調べる、手指の消毒効果の実験について紹介します。
<操作の手順>
水洗いをする前の手指を培地に数十秒間ベッタリつけます。その後、手を水洗いして、手の水分をハンカチで拭い、再び培地に手指を数十秒間つけます。この培地を細菌が育ちやすい環境で培養し、細菌がどのくらいいるかをチェックします。培地とは、細菌(微生物)を育てるために必要な栄養分を含む固形状または液状のもので、シャーレや試験管に入れて使います。

数日後...
(画像1)
← 水洗い前        水洗い後 →

培地の上に丸いものがたくさんできているのが分かります。これは、細菌が集まってできたコロニーとよばれるものです。通常は一種類の細菌が集まって一つのコロニーを作るので、集まっている細菌によって、コロニーの色や形、ツヤなどが異なります。

画像を見ると、手洗い前よりも手洗い後の方がコロニーの数が多くなっています。このことから、手を水で洗っても消毒の効果はほとんどなく、さらに、(手を拭くハンカチに細菌が付いていることがあるため)手洗い前よりも細菌が増えてしまう場合もあるということが分かりました。ちなみに、アルコール消毒をした手で同様の実験をすると、細菌のコロニーはほとんど観察できません。手指消毒のためには、石鹸を使って綺麗に洗い流した後、アルコール消毒をしないといけないということがよく分かりますね。
次に、顕微鏡でこれらの細菌を観察してみました。今回は、細菌を観察するために、グラム染色という染色を行いました。グラム染色はどんな菌がいるか調べるのに最も適した染色法で、感染症の原因菌を推定することも可能です。
1~4(画像1)のコロニーからそれぞれ菌を取って、スライドガラスに載せてグラム染色をすると、画像2のように染まります。
(画像2)
(1は染まっていないように見えますが、少しだけ染まっています。)

(画像3)

このように染色標本(スライドガラス)を顕微鏡にセットし1000倍で観察すると、画像4のように、それぞれの菌を観察することができました(撮影iphone)。
(画像4)
画像を拡大すると、1と3の菌は楕円形のような棒状(桿菌)で、2と4の菌は球状(球菌)であることが分かります。
(画像5)
また、濃い紫色に染まるのがグラム陽性菌、淡い紅色に染まるのがグラム陰性菌という菌ですので、1、2、4はグラム陽性菌、3はグラム陰性菌です。以上のことをまとめると、それぞれの菌は
1...グラム陽性レンサ状球菌
2...グラム陽性ブドウ状球菌
3...グラム陰性桿菌
4...グラム陽性ブドウ状球菌
であることがわかりました。ちなみに、グラム陽性球菌は、食中毒の原因になる細菌「黄色ブドウ球菌」の可能性があります!そのため、次回は菌2、4が黄色ブドウ球菌なのか、確かめる実習を行います。

                                   (続く)

NEWS一覧へ