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朝、起きられていますか?起立性調節障害について

2017年04月25日(火)

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation;OD)は頻度の高い病態で、10代に発症しやすい循環器疾患です。一般の中学生の約1割(約35万人)で、小児科を受診する中学生の約2割を占め※、現在も増え続けています。早い段階での気付きは、より早い回復につながります。今、問題となっている不登校児の10%程度を占めるといった報告も見られます。この病気(病態)の初めは本人も自分の身体がどうなったのか分かりません。周りの人からも「起きられないのは起きたくないからだろう」、「怠けている」と言われます。患者(本人)自身も「自分はダメなんだ」と思ってしまう傾向があります。年齢が長じるにつれ次第に症状は軽くなってくるものですが、個人差もありますので大学生だからないというわけではありません。朝起きにくく、体調不良と感じたら無理しないで医療機関を受診することをお勧めします。
以下のような症状はありませんか?
・朝、すっと起きられない。
・朝、起きると頭がいたい。
・立ちくらみやめまいがする。
・午前中は特に調子が悪い。
こんな症状があるなら、それは起立性調節障害(OD)かもしれません。不登校児の中には、朝、起きられないで学校に遅刻する、立ちくらみがして学校に行くのが不安だ、・・・などから次第に学校に行くのが億劫になってしまうといった場合もあります。心当たりのある人は是非一度、健康管理室に行って相談してみて下さい。
簡単なチェックポイントがあります。以下の問診で3つ以上当てはまれば可能性大です。もちろん診断には医療機関を受診し、可能性のある身体疾患を除外した後、起立試験を実施してサブタイプを調べます。

チェックポイント(ODで起こりやすい症状と診断)
□ 立ちくらみやめまいをよく起こす。
□ 立っていると気分が悪くなり、ひどいと失神する。
□ 入浴時や嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる。
□ 少し動くと動悸や息切れがする。
□ 朝、なかなか起きられず午前中調子が悪い。
□ 顔色が青白い。
□ 食欲不振がある。
□ 時々腹痛がある。
□ 疲労感がある、疲れやすい。
□ 時々頭痛がする。
□ 乗り物に酔いやすい。

サブタイプ
起立直後性低血圧(INOH)
  起立直後に強い血圧低下が起こるタイプ。
起立後開腹時間≧25秒、また≧20秒かつ平均血圧低下≧60%
体位性頻脈症候群(POTS)
 起立による血圧低下はないが、心拍数が増加するタイプ。
 起立3分以後心拍数≧115/分または心拍数増加≧30/分
血管迷走神経性失神(VVS)
  起立中に突然の血圧低下、意識低下や意識障害を起こすタイプ。
遷延性起立性低血圧(Delayed-OH)
  起立3~10分後に血圧が徐々に低下するタイプ。
以上のサブタイプは医療機関受診後診断されます。

なぜこのような症状が起こるのか
 ODとは、姿勢変換に伴う循環反応の異常に基づく種々の機能障害の総称で、主に思春期の急激な身体発育による自律神経のアンバランスによる症状と考えられています。立ち上がった際に重力により血流がお腹や下半身に溜まることで、脳や全身に十分な血液が行き渡らなかったり、心拍数が以上に上昇したりします。
 それらの循環反応の異常により、疲れやすくなり、思考力や集中力が低下、頭痛や腹痛の頻度は増え、本人の意思とは関係なく身体の調子が悪くなります。
 軽症の場合は朝なかなか起きることができず学校に遅刻していくようになり、重症の場合は一日中体調不良で食事も摂りにくくなったり睡眠のリズムが悪くなったりします。

治療
皆さんでもできる方法を伝授します。
非薬物療法として
・水分1.5L~2L/日、塩分10g~12g/日(水分は大目ですが塩分過剰ではありません)摂りましょう。
・早寝早起きなどの生活リズムを改善しましょう。
・急に起立しない、気温の高いところを避けるなど、日常生活で注意しましょう。
・静止状態での起立を3~4分間続けず、足踏みしたり両足をクロスしたりするなどして下さい。
薬物療法として(これは医療機関を受診して投薬を受けてからになります)
 中等度以上では昇圧剤などの薬物療法も併用されます。重症の場合、寝たきりの状態になることもあり、日常生活を取り戻すことができません。

皆さん自身が自分の身体を知ること
「自分の身体がどうなっているのか、なぜこのような症状があるのか、どう過ごせば楽になるのか」を理解することで症状を緩和することが大切です。

治療に専念するために
 長い療養期間からくる焦りや不安による自尊感情の低下などで二次的な症状の悪化が見られることがあり、家族や教育関係者の正しい理解が必要です。 

参考
※ 文部科学省(平成27年度学校基本調査)、小児起立性調節障害診断・治療ガイドラインからの試算
※ 小児心身医学会ガイドライン集 起立性調節障害診断・治療ガイドラインから