看護学部 看護学科 Nursing
TOPICS
【看護学科】国際保健医療活動IIのオーストラリア研修
2024年11月21日(木)
看護学科1年生 黒田 あゆら
今回のオーストラリアでの看護研修では、多くのことを学び、貴重な体験をさせていただきました。
1週間のうち4日間はゴスフォードで過ごし、高齢者介護施設や州立の大学・専門学校、公立・私立の病院を視察しました。残りの3日間はシドニーの観光地を巡り、博物館を訪問してオーストラリアの文化や歴史について学びました。
高齢者施設では、日本から準備したレクリエーションを実施し、利用者さんに楽しんでいただきました。オーストラリアは肥満率が高く、利用者さんも過体重や肥満の方が多いと聞きました。そのため、看護師の体への負担を軽減するために、サラステディやリフターといった移動補助具が使用されていました。オーストラリア人はフレンドリーな方が多く、利用者さんの部屋を訪れた際には、施設での生活について教えていただきました。利用者さんとは英語で話さなければならず不安でしたが、私の言葉を理解しようとしてくださり、レクリエーションの折り紙や書道を一緒に楽しむことで意思疎通ができました。
州立の大学や専門学校では、日本の看護教育との違いを学びました。大学では実際に使用しているモデル人形を見せていただき、胸部が呼吸しているように動いたり、咳や呼吸音を再現したり、脈を測ることができるなど、細かな動作が操作できることに驚きました。また、専門学校では、日本とオーストラリアとの看護教育の違いについて話し合いました。日本の実習では侵襲性の高い技術を行えませんが、オーストラリアでは、現場で看護師として働けるように、実習の段階から難しい技術を身につけられることが分かりました。さらに、働きながら学ぶ学生へのサポートが充実しており、自分のやりたいことを何歳になっても追求できるオーストラリアのシステムには感心しました。一方で、患者のニーズに合わせた看護を提供する点は、日本でもオーストラリアでも違いはありませんでした。
病院では、施設内を見学させていただき、オーストラリアの医療保険制度についても学びました。手術室見学では、人工膝関節置換術で人工関節を入れ込む際にハンマーを使っていることに驚きました。また、冠動脈狭窄に対するステント治療の様子も見学し、解剖生理学Ⅱで学んだ分野の手術を実際に見ることができ、非常に興味深かったです。オーストラリアの公立病院は無料で、私立病院では保険に入らなければ医療を受けられず、公立と私立の違いとして待ち時間の差や、私立での手術は医師の指名ができるといったことが分かりました。また、オーストラリアは日本よりも全身麻酔率が高く、胃カメラが全身麻酔下で実施されていたことに驚きました。
シドニーでは、オペラハウスやハーバーブリッジなどの観光地を巡り、メンバーたちとマーケットでの買い物を楽しんだり、博物館でオーストラリアの看護の歴史やアボリジニの文化について学びました。ナイチンゲール博物館では、イギリスから派遣された看護師ルーシーがナイチンゲールの教えをもとに指導を行ったことから、オーストラリアにはナイチンゲールの思想が根付いていることを知りました。また、博物館には多くの標本が保存されており、非常に興味深かったです。シドニー博物館や州立博物館では、オーストラリアの先住民であるアボリジニのアートを見学し、その辛い歴史についても学びました。ゴスフォードの学校にはヤーニングサークルといったアボリジニの文化を尊重した空間が設けられており、アボリジニの方々に対する敬意が払われていました。
この看護研修を通じて、私自身の看護の視野を大きく広げることができました。オーストラリアの教育システムについて学び、特にオーストラリアの看護教育における実践的なアプローチには刺激を受けました。また、多民族国家であるオーストラリアに訪れ、患者中心の看護を行うためには、多様性への理解が求められると感じました。研修で得た経験や知識を基に、今後も努力し続けたいと考えています。