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健康保健センターニュースNo.7『感染性胃腸炎に注意しましょう』

感染性胃腸炎に注意しましょう

健康保健センターニュースNo.7

 この冬のノロウイルスによる感染性胃腸炎は現在、感染流行警報が出されている東京を中心に、これまでのタイプ(GⅡ.4)とは違った新型ノロウイルス(GⅡ.17)が流行しています。免疫を持っている人はほとんどいません。従って、この新型ノロウイルスには容易に感染してしまう可能性が高くなります。また、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の症状が出ていても、市販されている従来の簡易検査キットなどではウイルスが検出されないことも多くなります(検査キットの、従来のノロウイルスの108ある遺伝子コピーのどの型にも合わないため)。石鹸や合成洗剤、アルコール消毒、酵素系漂白剤ではノロウイルスを殺すことが出来ないのは今までのノロウイルスと同じです。
従って、過去の感染性胃腸炎よりは感染力が強いものとして行動して下さい。CDC発行資料より情報をお知らせしますので以下のことに留意して発生防止にご協力下さい。   
【ノロウイルス(カリシウイルス科)の電子顕微鏡写真(ネガティブ染色:表面がカップ型になっているのが特徴)】

感染率:50%以上
潜伏期間:24時間から48時間(中央値36時間)、最短10時間で発症
症状:激しい嘔吐、水様性下痢・腹痛・37~38℃台の発熱(
有症期間:(33~48時間)、不顕性感染率
ウイルス排出:約2週間
病院などでの集団感染:95%がヒトからヒトへの2次感染
感染経路:ウイルスが濃縮される牡蠣などの2枚貝からノロウイルスが不完全調理などで経口感染した場合はウイルス性食中毒となりますが、この患者から2次感染を起こした場合は(ウイルス性)感染性胃腸炎となります。このウイルスは乾燥にも強いので、糞口(経口)感染以外に環境表面からの接触感染、嘔吐中に発生するエアゾル(小さな飛沫)を吸入することによる感染、感染者に直接接触することによる感染、嘔吐物が乾燥し粒子(塵埃)が舞い上がり吸入して感染するなど、多彩な感染経路があり集団発生の原因となります。あの小さなウイルス粒子10個程度でも感染する場合があるとされています(翌日には1000万個に増えると言われています)。
嘔吐物の処理:グラブ、マスク、ガウンなどを着用する、換気する、ペーパータオルや新聞紙で吐物を覆い、その上から50倍に薄めた(0.1%)塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)をかけて拭い取り、直ちにビニール袋などに入れ密閉して感染性廃棄物として取り扱います。衣服などの汚染物は、洗濯用塩素系漂白剤に30分以上浸け置き消毒をした後に他の物とは分けて洗濯して下さい。嘔吐物で汚れた床は250倍に薄めた塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)で拭き取り消毒します。片付けが終わったらグラブを外し、よく手を石鹸で洗って下さい(アルコール消毒は無効です!)。次亜塩素酸ナトリウムの遊離塩素がウイルスや細菌の膜を破壊し、不活化(死滅)させます。
清掃・消毒:清掃(手摺り、ドアノブ類など)も250倍に薄めた(0.02%)塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)で拭き取り消毒します。使用したものは感染性廃棄物としてビニール袋で密閉して処分します。
嘔吐時の対応:発症者はムカムカしていて突然に吐き気に襲われます。感染リスクのある方は大きめのビニール袋などを用意しておくことをお勧めします。嘔吐しているヒトに近づき、背中をさするなどの行為は感染リスクを高める可能性がありますので積極的にはお勧めできません。
学生・教職員が嘔吐した場合:学生・教職員が嘔吐した場合は責任を持って担任・上司に報告するとともに健康保健センター(キャリア支援課内)に報告し、嘔吐場所に対して上記の清掃・消毒を行って下さい。

新型ノロウイルスの特徴(まとめ)
乾燥に強い
潜伏期間が短い
感染力が非常に高い
現時点では免疫を持っている人がほとんどいない
簡易キット検査をしても出てこない
石鹸やアルコール消毒、酸素系漂白剤は効かない(従来からのノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルスも同じ)

おまけ(家庭での次亜塩素酸ナトリウムの用途ごとの作り方と使い方)
 家庭にある塩素系漂白剤(キッチンハイター、ブリーチ、ミルトン、ピューラックスなど)を用意します。
※ペットボトルで作った消毒液は間違えて飲まないように、フェルトペンなどで消毒液と大きく書き込んで下さい。

次亜塩素酸ナトリウム濃度200ppm(0.02%)
用途:トイレの便座やドアノブ、手すりなどの消毒、おもちゃや衣類、調理器具の消毒など
空の500mlペットボトル1本に、キャップ半分弱(約2ml)の塩素系漂白剤を入れ、水道水を通常の飲料が入っている部分(500ml)まで入れ、良く振って完成です。
濃度0.02%の消毒液の使い方:使い捨て出来るキッチンペーパーなどを消毒液に浸し、拭きます。その10分後に同じくキッチンペーパーなどで水拭きをします。浸け置きの場合は消毒液に10分くらい浸けた後、水で良く濯ぎます(雑巾など布を使う場合、消毒液に一度浸して使用した布は、再び消毒液に浸さない)。
※次亜塩素酸ナトリウムには金属を腐食させる作用があります。ドアノブなど金属部分を消毒する場合は後でしっかり水拭きをして下さい。
※ 次亜塩素酸ナトリウム濃度が高い程ノロウイルスに効果的ですが、その分衣類を色落ちさせたり痛めたりします。ノロウイルスは熱にも弱いので、衣類は90度以上の熱湯に90秒以上つけるなどの方法もあります。

次亜塩素酸ナトリウム濃度1000ppm(0.1%)
用途:糞便や吐瀉物が付着した床や衣類、おむつなどの消毒
空の500mlペットボトル1本に、キャップ2杯(約10ml)の塩素系漂白剤を入れ、水道水を通常の飲料が入っている部分(500ml)まで入れ、良く振って完成です。
濃度0.1%の消毒液の使い方:消毒液を布やキッチンペーパーにたっぷりとしみ込ませてから汚染箇所を拭き、10分くらい後にしっかりと水拭きします。一度消毒液に浸して拭いた後の布は、そのまま消毒液に浸さないで下さい。
※ノロウイルスは熱に弱いので、洗濯のしづらいカーペットなどではスチームアイロンをあてるなどの方法もあります。

次亜塩素酸ナトリウム消毒液使用上の注意
●刺激が強いため人に対しては使用しない。
●ビニール手袋などを着用して下さい。
●皮膚や衣服につかないように充分注意し、ついてしまったらすぐに大量の水で洗って下
 さい。
●消毒液を使った時は充分に換気をして下さい。
●他の洗剤と絶対に混ぜない。特に酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生し大変危険です。
●時間が経つと効果が減るので作り置きしないで下さい。
●塩素は日光で簡単に分解してしまいますので、高温多湿を避け日の当らない場所に置い
 て下さい。

参考
・厚生労働省ホームページ
・東京都感染情報センター
・国立感染症研究所ホームページ

健康保健センター