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健康保健ニュースNo.11「食中毒に注意しましょう!」
2017年05月25日(木)
食中毒に注意しましょう!
今年も梅雨と暑い夏がやって来ます。この季節、気温と湿度がどんどんと上昇して食品中の細菌やカビが増殖しやすい環境となります。また、最高気温が20℃を超える時期には食中毒注意報が、最低気温が20℃以上になると各自治体の保健所から食中毒警報が発せられます。既に神戸市内の飲食店(三宮周辺)では食中毒が発生したという報告があります。下宿などでひとり暮らしをしている学生は特に手指衛生と食品衛生には注意しましょう。
食中毒とは
食中毒の定義づけに関しては、食品衛生法第58条に『食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者もしくはその疑いのある者を食中毒患者等』と記載しており、このような症状の患者を診断した医師は直ちに最寄りの保健所長に届け出なければならないと定められています。すなわち、食品、添加物、器具、または容器包装に含まれたまたは付着した微生物、化学物質、自然毒等を摂取することによって起きる衛生上の危害です。従って、玩具にも法律がおよびます。
下記に示すような原因物質があります。細菌では食品とともに取り込まれ腸内で増殖することにより食中毒を起こす感染型と、食品内で増殖、毒素を産生し、その毒素により食中毒を起こす毒素型の2つに分類されます。発生件数の多いのは最近ではほとんどが微生物(細菌、ウイルス)による食中毒で、細菌ではカンピロバクター、サルモネラ(腸炎ビブリオは減少傾向を示しています)、ウイルスではノロウイルスなどです。また秋には自然毒での毒キノコやフグによる食中毒も多く発生します。食中毒注意報・警報は各自治体を管轄する保健所などからこの時期に出されます。
食中毒原因物質の種類
細菌(感染型) |
サルモネラ、赤痢菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、ウ ェルシュ菌、腸管出血性大腸菌、セレウス菌(下痢型)など |
細菌(毒素型) |
ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)など |
ウイルス |
ノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルスなど |
真菌 |
マイコトキシン産生真菌 |
原虫 |
ジアルジア、クリプトスポリジウム、クドアなど |
寄生虫 |
アニサキス、日本海裂頭条虫など |
自然毒(動物性) |
フグ、毒かます、貝毒など |
自然毒(植物性) |
毒きのこ、じゃがいもの芽、ドクゼリなど |
化学物質 |
殺鼠剤、農薬、微量重金属(ひ素、鉛など)、油脂の酸敗 |
アレルギー様 |
ヒスタミン(さんまのみりん干しなど) |
食中毒は飲食店などの外食で発生しているだけでなく家庭でも発生しています。家庭における食中毒は、症状が軽かったり家族のうち全員には症状が出なかったりする場合もあるため、食中毒であると認識されないケースも少なくありません。厚生労働省の統計では、家庭での食中毒の発生件数は全体の1割程度となっていますが、実際にはもっと多く発生していると推測されます。家庭にも食中毒の危険が潜んでいるのです。
食中毒の原因となる細菌やウイルスは目に見えないため、どこにいるか分かりませんが、私たちの周りの至るところに存在している可能性があります。肉や魚などの食材には、細菌やウイルスが付着しているものと考えましょう。
また、いろいろな物に触れる自分の手にも、細菌やウイルスが付着していることがあります。細菌やウイルスの付着した手を洗わずに食材や食器などを触ると、手を介してそれらにも細菌やウイルスが付着してしまいますので特に注意が必要です。
きれいにしているキッチンでも、食中毒の原因となる細菌やウイルスがまったくいないとは限りません。食器用スポンジや布巾、シンク、まな板などは細菌が付着・増殖したりウイルスが付着したりしやすい場所と言われていますので衛生管理を適切に行い、スポンジや布巾・まな板などは特に乾燥させることが大切です。
腹痛や下痢、おう吐などの症状が急に出たことはありませんか。そんなときに疑われるもののひとつが「食中毒」です。食中毒は、飲食店などで食べる食事だけでなく、家庭での食事でも発生しています。家庭での食中毒を防ぐのは、食材を選び調理する皆さん自身です。
食中毒の原因は何?~食中毒の主な原因は「細菌」と「ウイルス」
食中毒を引き起こす主な原因は、「細菌」と「ウイルス」です。細菌もウイルスも目には見えない小さなものです。細菌は温度や湿度などの条件がそろうと食べ物の中で増殖し、その食べ物を食べることにより食中毒を引き起こします。一方、ウイルスは低温や乾燥した環境中で長く生存します。ウイルスは、細菌のように食べ物の中では増殖しませんが、食べ物を通じて体内に入ると、人の腸管内で増殖し、食中毒を引き起こします。
細菌が原因となる食中毒は夏場(6月~8月)に多く発生しています。その原因となる細菌の代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O157、O111、O26など)やカンピロバクター、サルモネラ属菌などです。食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。例えば、O157やO111、O26などの場合は7~8℃ぐらいから増殖し始め、35~40℃で最も増殖が活発になります。また細菌の多くは湿気を好むため、気温が高くなり始め湿度も高くなる梅雨時には細菌による食中毒が増えます。
一方、低温や乾燥した環境中で長く生存するウイルスが原因となる食中毒は冬場(11月~3月)に多く発生しています。食中毒の原因となる代表的なウイルスであるノロウイルスは、調理者から食品を介して感染する場合が多く、ほかに二枚貝に潜んでいることもあります。ノロウイルスによる食中毒は大規模化することが多く、年間の食中毒患者数の5割以上を占めています。このほか、毒キノコやフグなどの「自然毒」、アニサキスなどの「寄生虫」なども食中毒の原因となっています。最近では養殖ヒラメの刺し身からクドア・セプテンプンクタータといった聞きなれない寄生虫(原虫)も検出されています。このようにさまざまな原因物質によって、食中毒は1年中発生しています。
食中毒予防の3原則(4原則)
食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つのことが原則となります。
また、ウイルスの場合は、食品中では増えないので「増やさない」は当てはまりません。ウイルスはごくわずかな汚染によって食中毒を起こしてしまいます。ウイルスを食品に「つけない」を確実に実行するためには調理者はもちろんのこと、調理器具、調理環境などの調理場全体がウイルスに汚染されていないことがきわめて重要になります。
参考:政府広報オンライン