保健科学部 医療検査学科Medical Technology

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実習ライブレポート病原微生物 Part2


■病原微生物検査学実習■


 神戸常盤大学医療検査学科の病原微生物検査学実習内容を学生によるライブレポートでお届けします。前回に続き、医療検査学科2年の森先がお伝えします。前回の実習で検出されたグラム陽性球菌が、食中毒の原因になる細菌「黄色ブドウ球菌」か確かめる実習を行いました。しかし!残念なことに保存していた菌が死んでしまい、確認することができませんでした。
菌が死んだ原因としては、
・培地が乾燥してしまった
・保存する菌の量が少なすぎた
ことが考えられます。時間が経つと菌は徐々に減っていってしまうので、保存した菌数が少なくて全滅したのかもしれません。
 そのため今回は、本物の黄色ブドウ球菌を使って黄色ブドウ球菌と他の細菌とを区別する方法について紹介します。細菌の種類を区別するには、様々な試験を行います。実習では、細菌が持っている酵素を確認する試験と、ある成分を持った種類の菌しか発育しない培地に菌を植えてみることで、黄色ブドウ球菌とそうでない菌の区別をしました。
 細菌が持っている酵素を確認する試験として、カタラーゼテストとコアグラーゼテストを行いました。それぞれの試験方法を以下に簡単に説明します。
*カタラーゼテスト


(写真1)

 培地で培養した細菌のコロニーの一部をガラス棒でとり、シャーレにのせて過酸化水素を一滴かけます(写真1)。このときコロニーから泡がでると陽性で、この菌はカタラーゼ(過酸化水素を分解する酵素)をつくることが分かります。この試験では、黄色ブドウ球菌であれば陽性になります(写真2)。

(写真2)


*コアグラーゼテスト
 抗凝固剤(血液が固まるのを防ぐもの)を含むウサギの血漿を試験管に入れておき、その中に調べたい菌を入れて混ぜます。これを24時間35℃で保温し、試験管を傾けたときに中の液体が固まっていると陽性で、固まっていないと陰性です。陽性の場合、菌はコアグラーゼ(血漿を凝固させる酵素)をつくることが分かります(写真3)。


(写真3)

 細菌の種類を区別する培地として、DNase培地、マンニット食塩培地を利用しました。それぞれの確認方法を以下に簡単に説明します。
*DNase培地
 この培地はDNAを含み、青色をしています。細菌のDNA分解酵素によって培地中のDNAが分解されると赤色(陽性)になります。黄色ブドウ球菌はDNAを分解し、培地を赤色にします(写真4)。


(写真4)

*マンニット食塩培地
 マンニットという糖と食塩が含まれている赤色の培地です。黄色ブドウ球菌とその仲間以外の細菌は、食塩によって発育が制限されます。さらに、黄色ブドウ球菌はマンニットを分解し、培地を赤色から黄色に変えます。

(写真5)

つまり、これら4つの試験の結果がすべて陽性となれば、細菌が黄色ブドウ球菌であることが分かります!
 ちなみに、私たちのクラスの人たちの手からは、黄色ブドウ球菌は検出されなかったようです。黄色ブドウ球菌は食中毒などを起こす可能性のある菌(※必ずしも引き起こすわけではありません)なので、見つからなくてよかったです!

 病原微生物検査学実習では、以上のような実習を通して微生物の培養や検査の仕方を学んでいます。今回紹介したものは実習のほんの一部なので、興味を持たれた方はぜひ医療検査学科へ!

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